繰り返される産地偽装問題

ご存じの方も多いと思いますが、新聞にアサリの産地偽装が報道されました。

内容は
「国内で流通する熊本県産のアサリに、外国産が大量に混入して販売されていたことが農林水産省の調査で分かった。食品表示法などに違反する疑いが強いとして、農水省は実態解明を急いでいる。熊本県も県漁連の協力でアサリの出荷を2ヶ月間停止とした。産地を熊本産と偽装したアサリをあぶり出し、根絶を目指すためだ。岸田文雄首相は18日、「厳正な対応をしっかり進める」と述べた。産地偽装の発覚は、農水省が昨年10~12月、全国の主要スーパー約1千店舗を対象に行ったアサリの産地調査がきっかけだ。熊本産として売られたアサリの推計販売量は2485トンで、令和2年の熊本産の年間漁獲量21トンを大幅に上回っていたことが判明した。」
出展元(2022年2月19日 『産経新聞』より)

この記事を読んで、熊本でアサリをまじめに収穫している生産者の方々が多大な損害を受けることとなった。
いつも産地偽装問題が出るたびに思うのが、消費者も騙された被害者であるのは間違いないが、真面目にやっている生産者にとっても直ぐに経済的なダメージを受ける被害者でもある。
一部の儲けを最優先に走る生産者や中間業者、販売業者が後を絶たないのは誠に残念である。

我々の業界でも、6年前の2016年5月に「羽毛ふとんの産地偽装問題」が大々的に報道された。
その際は私も幾つかの情報番組に出演して専門家としてのコメントをする機会がありました。
その当時は、非常に緊張してしっかりと喋ることができるか不安でしたが、自社で作る商品はトレーサビリティが明確にわかる羽毛を扱っていましたので、求められたコメントに対しては答えることが出来たと思います。
その後、業界大手の会社幹部の方が問い合わせがあったことを知人から聞きました。
その幹部の方は業界の情報を沢山お持ちであると思いますが、実際に現場をよく見て熟知した上で、現場の苦労も理解している方なのか私にはわかりません。
当社の場合は、机の上で絵を描いて作業を指示しているわけではなく、みんなで力を合わせながら、喜ばれる商品創りをしています。
だから、トレーサビリティに於いても複雑な購入ルートではなく、現地で生産者と対面して言葉が通じなくても、その原料の良し悪しは分かります。
私自身が良いと思えば直接購入して、自社の工場でスタッフと日本に合った快適に作り上げていきます。
だから品質に関わる認証は取りますが、トレーサビリティに間違いが無い事を証明する認証は取ろうとは思いません。
なぜならば、間違いの無いモノをつくっているからです。
トレーサビリティを証明するための書類は全て揃っているので第三者機関に来てもらうことなく、必要な情報を開示できるようにしておくことが、生産者である私達の務めであり、信頼だと思います。

熊本のアサリ業の関係者の方々は消費者の方に美味しいアサリを食べてもらいたいとの思いで、辛い仕事でもやってこられたはずです。
また、その成果として妥当な収入を得るべきだと思います。
生産者は購入する方に対して期待以上のモノを提供し、購入者は期待するモノが大きければそれなりのコストが掛かることを理解してほしいです。
そうすれば、少しでも産地偽装問題が減るかもしれません。
 
羽毛馬鹿の独り言